きもの事典

雪輪文様の季節は?

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雪輪文様はその名の通り、雪の結晶の輪郭を曲線でつなぎ、文様化したもの。 桃山時代の能装束にも使われていた古典模様のひとつです。
冬の模様のように思いますが、雪輪に桜、雪輪に楓といった組み合わせがよく使われるため、不思議に思われるかもしれません。実はこれらの組み合わせ模様は古くから使われてきた古典柄なのです。

雪の結晶は「六花」と呼ばれ、顕微鏡などなかった時代から描かれてきました(一説では、前漢時代に作られた韓嬰の漢詩により中国から伝えられたとも)。
先の雪輪桜文(ゆきわさくらもん)のほか、雪輪笹龍胆文(ゆきわささりんどうもん)、雪輪すすき文(ゆきわすすきもん)、雪輪春草文(ゆきわにはるくさもん)など、さまざま季節の植物などと合わせて使われることが特徴です。
野山の草花をはぐくみ、秋の実りをもたらすには雪溶け水が欠かせません。つまり、豊かな日本の四季と自然の恵みをもたらす雪は吉祥文様なのです。したがって、雪輪文様は四季を通じて用いてもよいとされています。

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雪輪が、一般に着物の柄として使われるようになったのは江戸時代で、雪に魅せられた古河藩主の土井利位が結晶の観察記録をまとめた「雪華図説」(右上、タイトル横の写真はそのなかの1ページ)がベストセラーとなってからといわれています。
着物や小物から焼き物など、あらゆるものに雪輪や雪華模様が江戸庶民の間で大流行し、この頃さまざなバリエーションが生まれたそうです。


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雪輪文様は他の文様のフレームとしてもよく使われてきました。
左は尾張徳川家で舞に使われてきた小袖の能装束。紅・白の大胆な配色といい、尾張徳川ならではの派手さに驚くばかりです。 (「紅・白段雪輪に蒲公英文摺箔(べに・しろだんゆきわにたんぽぽもんすりはく)」17世紀作・徳川美術館所蔵) 意匠は雷文と亀甲文、雪輪に蒲公英、さらに桜、松、藤、竜胆、萩など、四季の花が刺繍されています。
このうち「雪輪に蒲公英」は、能五流(観世、宝生、金春、金剛、喜多)と狂言の大蔵流、和泉流の家紋です。蒲公英はタンポポと読みますが、かつては春の七草のナズナのことをさしていたそうです。

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